ニュージーランド、一歩のブログ

趣味、山。職業、料理。上手くなりたいこと、写真。好きな歌手、エレファントカシマシ

【忘れえぬ山】#1 私にとっての忘れえぬ山


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「忘れえぬ山」という本がある。串田孫一氏編集による珠玉の山岳エッセイ集である。山を愛する岳人たちの「忘れえぬ山」が生き生きと描かれている。必ずしも有名な山、高峰、記録のついた山ではなく、その人にとってのとっておきの山旅が選ばれている。文章だけでその山の雰囲気や人々の息づかいが聞こえてきそうである。私は特に20代後半頃、通勤電車に揺られながら何度も繰り返しこの本を読んでいた。

 

今私は日本から遠く離れたニュージーランドで生活している。そして、ふと私自身の遠い日本の、遠い過去の「忘れえぬ山」の記憶を書き記しておきたくなった。

 

大学時代にワンダーフォーゲル部で山歩きを覚え、その後、就職して1年間山から遠ざかったが、再び無性に山に登りたくなり、一人で山登りを再開した。この頃、休みが取れる度に都会の喧騒から逃げるように一人で登った山々が私にとっての「忘れえぬ山」である。

 

当時の写真は全くない。「なぜ写真を撮らないの?」と聞かれたら「写真を撮ることに気を取られて自分の目で山を見なくなる。僕はこの目で山を見たい。目に焼き付けたい。」という答えを用意していた。誰からも一度も聞かれなかったけれど。(当時私はカメラについて無知だった。今では山にはカメラを必ず持って行き、撮りまくっている。目の前の美しい風景を見たままに切り取りたいと思うようになった。目下勉強中である。)手帳や地形図の裏にボールペンでスケッチをしながら歩いたときもあったが、その後の度重なる引っ越しでそれらもどこかに消えてしまった。したがって山の記憶だけが頼りである。地図を広げて遠い記憶をたどりつつ書き始めよう。